ダブルサイドバンド・サプレスドキャリア(DSB-SC, 搬送波抑圧両側波帯)変調

August 28, 2013 by Sadik Hafizovic

ダブルサイドバンド・サプレスドキャリア (DSB-SC, 搬送波抑圧両側波帯) 変調は、対称的な2つのサイドバンドのみで構成され、搬送波がない振幅変調です。私は超音波のアプリケーションでこの方式に出会いましたが、サイドバンドにすべての電力を利用できるようにすると電力利用率が最大になります。HF2LI及びUHFLIのロックインアンプ搭載されているMODオプションを使えば、DSB-SC変調を簡単に生成・復調できます。MODオプションはZurich Instruments のロックインアンプ独自の機能で、与えられたキャリアと変調周波数に基づいて、サイドバンドの直接合成と復調を可能にします。重要なのは、指定するのはサイドバンドの周波数ではなく、中心及び搬送波と変調波の周波数(搬送波とサイドバンドの距離)であることです。このことは以下の様な極めて重要な意味を持ちます。

  • 変調周波数を、ボード線図のように簡単に掃引することができます。
  • サイドバンドが同じ発振器で作られるので、2つのサイドバンド間の位相関係が常に一定に保つことができます。
  • 搬送波周波数と変調周波数をPLLなどで制御した場合でも、位相関係が常に指定できます。

図1に示すように、波形の生成は簡単にできます。

UHFLI LabOne MOD

図1: UHF-MODオプション付きのUHFLIロックインアンプで、DSB-SC変調信号を生成したLabOneユーザーインターフェース画面(上)。スペクトラムアナライザモジュールでは、1MHz付近のスペクトルが表示され、±20kHzのサイドバンドが見えます。

復調の部分も、振幅だけに注目すると簡単ですが、変調位相に注目される場合は少しトリッキーになります。というのも、サイドバンドの位相は搬送波と変調波の発振器に対する相対的なものですが、信号に測定できる搬送波がないため、その位相がわかりません。そこで、振幅変調 (AM) ではサイドバンドが同相であることを利用して確認します。φc、φlo、φupはそれぞれ搬送波、下側サイドバンド、上側サイドバンドの位相で、ロックインアンプで直接測定できます。注目すべきは変調波の位相φmodで、これは以下の最初の2つの式で求められます。3番目の式は、純粋な振幅変調においては、サイドバンドが同相であると考えられることを示しています。

  1. φmod up = φup − φc
  2. φmod lo = −(φlo − φc)
  3. φmod lo − φmod up = 0  ⇔  φmod = φmod lo = φmod up

したがって

φmod = (φup − φlo) / 2